ありそうで無かった「陶芸教室」

陶芸教室「福ろく寿」

中野区の陶芸教室。東京では唯一の「磁器教室」も併設。完全フリー教室。

作陶フリーコース 虫鉢と山羊頭の酸化焼成窯出し

 陶芸フリーコースのMです。今日は待ちに待った酸化焼成の窯出しです。

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 窯出しの瞬間は期待で心が躍ります。今回は贅沢にも私の作品しか入っておりませんので多少気が楽です。隣の作品に万が一、倒れ掛かっても自分の作品ですから。

以前の陶芸教室ですと焼き上がった作品が既に棚に並べられているのを受け取るだけでした。自分で窯から出させてもらうときの喜びはたまりません。

 

作品の釉薬が棚板に垂れて癒着しておらず、無事に取り出せると第一関門クリア。

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 次は出来のほどを確認します。概ね破損することもなく無事に焼き上がったようです。

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初めて外殻を持たない虫「蚕蛾」を作ってみました。右翅がもっと上に立ち上がっていたのですが焼く過程で溶けて下がってしまいました。頭に掛かった釉薬が多すぎて顔が潰れてしまいました。ただし触覚の細かさはそのままに焼けたのは良かったです。

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大雀蜂もうまく焼けました。毒針の鋭さもそのまま残って良かったです。何を植えるか楽しみな植木鉢となりました。

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大花潜もがっしりとした肢の雰囲気が上手く残りました。顔にかかった釉薬が厚くてもう少しで眼もかくれるところでした。触覚の突起も上手く残りました。満足です。

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 源五郎も申し分のない焼き上がりです。遊泳毛のついた後肢も良い感じです。学びとしては前回は鉢本体を黒土で作ったのに対し、今回は赤2号土で鉢本体を作ったのですが、同じ釉薬でも土の違いで陶肌の質感が全く異なるモノになりました。赤2号だとマグネシヤ釉薬の酸化焼成は肌理の細かい粉を吹いたようなマットな質感になるようです。ツヤのある虫とマットな土台との間にコントラストが生まれてとても良い塩梅です。

土を使い分けることで同じ釉薬のどぶ掛けでも同一作品内の陶肌の質感を作り分けられる。

勉強になりました。

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今回の工夫として蠅取蜘蛛の眼に黒い光沢のある釉薬を掛けてみました。眼が力強く存在感が出ました。コンセプトとしては死んだ虫なので適さないような気もしますが、蠅取蜘蛛は眼が命なのでよしとします。

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半年間焼成待ちをしていた山羊頭鉢もようやく焼き上がりました。今窯の本命です。いい感じに土っぽさも残ったのではないでしょうか。なかなか満足度が高いです。 

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 土を入れて植物を植え込めるように作ってはいるのですが、もうひとつの用途がこれです。頭の中にソケットが入るように作ってあり、裸電球が頭から飛び出します。

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 首の底はかなり厚く作ってあるので重心は低く安定性は高いです。

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光源が近いので角の釉薬が鈍く黒光りするのも良いです。

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部屋の雰囲気作りの為の装飾的な置物でしかないのですが、私としては狙い通りの満足のいく出来です。

 

今回は非常に珍しいことに95点をつけてもよい満足度の高い窯出しでした。

 

コロナウイルス感染拡大を防ぐべく東京都も外出自粛要請が出ましたが、そうなると陶芸工房にもこれなくなってしまうのでしょうか。「不要不急」ではなく心の潤いに「必要」で制作ペースの維持には「必須」なのですが世間には通じないですかね。